こんにちは♬
トランペット奏者・作編曲家のいわたけいこです。
大好きなピアニスト佐野主聞さんのブログをまずご紹介。
「心のない演奏はなぜ生まれるのか?」
とても考えさせられる題材です。
何故なら「トランペット」と「ミス」というのはセットになっている呪いの言葉のようなものだからです。
結論から言うと、
「ミスはしないほうがいいけど、ミスを気にして音楽できないのはもっと良くない」
ということなんです。
トランペットはミスをしやすい楽器です
そもそも構造上の問題として、トランペットを始め金管楽器は倍音で音を変えるため、ひとつの運指で複数の音を出す楽器です。
木管楽器やピアノ、弦楽器のように「押さえれば必ずその音が出る」訳ではありません。
音の高さは感覚で覚えます。
息の速さだったり、フォームだったり、それは人によってそれぞれ違います。
もうトランペットを吹いて30年以上経ちますがいまだに時々「これだ!」と思って吹いた音が全く違う音であることもしょっちゅうあります。
金管楽器の中でも一番にホルン、次いでトランペットが音が当てにくい楽器だと言われています。
そのぐらいミスが身近にある楽器なのです。
なぜミスが起きるのか
トランペットで音を外すのには色々と理由があります。
・息のスピードが足りていない(もしくは速すぎる)
・ソルフェージュができていない
・譜読み不足
・指が合ってない
・集中力がなかったり緊張し過ぎて息が流れない
などなど、挙げればきりがありません笑
仮に譜読みができていて、指が合っていて、息のスピードが程よい間隔でも集中力がなかったりするとミスをすることもありますし、普段から完璧にできていても外すこともあります。
場合によっては楽器やマウスピースが原因ということも考えられます。
そのぐらい、ミスが起きる要素が多い楽器なのです。
なので普段からミスを予防するためのトレーニングをたくさんしていかなくてはなりません。
フィジカルな面でもメンタルの面からもトレーニングが必要です。
何かひとつでも足りないとミスというのは突然起こり得ることなのです。
ノーミスの演奏が絶対的に素晴らしいのか
トランペットを演奏するうえで「ノーミスで吹く」というのはある種こだわりの部分でもありますし、誰もがこの状態が常にできるようにしたいと思っています。
私も仕事上ミスの許されない現場もたくさんありますので、極力ミスが発生しないように練習をします。
でもそればかりに固執してしまうと、大事な音楽を忘れてしまうこともあります。
学生時代、私はミスのオンパレードみたいな演奏をしていました。
表現が優先していたからです。
仕事としてトランペットを吹くようになったとき、ミスをしないことに全集中(!)して吹くようになりました。
そしてそれをしているうちに「緊張する」「バテる」という事に出会うようになりました。
そう、私が緊張するようになったのは社会に出てからなんです。
もちろんそれまでも緊張はしていましたが、そこまでではありませんでした。
でも仕事としてやっていくうちにものすごい緊張するようになったのです。
それは明らかに、ミスをしないために起きている事でした。
緊張の克服法に関してはまた別に記事を書こうと思いますが、
その「ミスをしない」という考えを捨てるのにとてもとても時間がかかりました。
そして行き着いた結果が、
音楽をきちんと表現してあげようと思うとミスはなくなる
ということでした。
自分がどんな音楽を表現したいか、そしてそのためにどんな仕組みで体を動かしているのか、表現するために具体的にどういう息の使い方をするのか、頭の中ではどんなことを考えればいいのか、それを考えるようになったとき足が震えるような緊張がなくなったのです。
つまり、音楽を表現することを一番とし、そのために必要なテクニックやロジック(仕組み)を組み立てメンタルもフィジカルもトレーニングしていくことでミスが起こりにくくなったのです。
表現だけでもダメだし、テクニックだけでもダメなのです。
表現が第一ですが、テクニックも必ず必要になります。
結局「練習しようよ」ってことなんですけどね笑
これをすることで体の余分な力が抜けて、自然な流れで音が出るようになりました。
生徒さんで、ミスをすることを極端に恐れて息が入らない方がとても多いです。
高い音が出ない、というのもこれに似た症状になります。
高い音の吹き方の解説をするとき「外してもいいよ」というようにアドバイスします。
いい音で盛大に外した時に落ち込まず、「いい音が出た!」と思えばそこから高い音が出る仕組みである息のスピードを速めればいいだけなのです。
そういうトレーニングを積み上げることでミスというのはだんだん減っていくようになります。
ノーミスでも力が入ってしまっては意味がありません。
いい音楽、いい音、そこからミスのない表現をすること。
これが大切だと思います。
ではまた。ばいば〜い!