こんにちは♬
トランペット奏者・作編曲家のいわたけいこです。
ジャズの吹き方についての記事を以前書きました。
本記事は第2回目の記事になります。
この記事を書いているひと
トランペット奏者、様々なジャンルを演奏するマルチプレイヤーとして活動中。
レッスン経験は20年以上、超初心者〜上級者までこれまでにたくさんの方をレッスンしてきました。
ビッグバンド、コンボなどジャズでも多方面で活動中。
ジャズは楽譜に書いていないことがたくさんある
ひとつめの記事ではスウィングの吹き方についてを練習しました。
そちらでも触れましたが、ジャズの楽譜は基本的に吹き方の細かいニュアンスというのを書いていないことが多いです。
スウィングの吹き方に関しても裏拍を強くとは表記されていませんし、裏から表にスラーをかけるような奏法に感してもほとんど書かれていません。
それは、基本的にジャズは人から人へ伝えて出来上がったジャンルだったという背景もあります。
楽譜がなく、コード進行のメモだけを共有し、あとは耳コピしていくというスタイルが多かったからです。
ある意味伝統芸能のような部分もあるかもしれませんね笑
その中でもビッグバンドジャズの世界ではそれが顕著に出ているかもしれません。
たくさんの人とのアンサンブルの中で、セクションを同じ表現の仕方に統一するという意味でこのニュアンスが生まれたのかもしれませんね。
今日はこの表現についての代表的なものと、その練習法をやっていきたいと思います。
特徴的なのは音の切り方、伸ばし方
ジャズやポップスを演奏するうえで1番特徴的なのはこの「音の切り方と伸ばし方」であると言えると思います。
クラシックは基本的に発祥が教会だとかお城のホールなど、響きののある場所で演奏することが多いものでした。
それに対してジャズは街角や小さなお店の中など、響きの少ない場所で発展していきました。
なのでクラシックは比較的音を軽く抜くように表現しても、演奏する場所が響きを作ってくれるのに対し、ジャズは響きを自分自身で作って表現するようになったと聞いたことがあります。
まず、音をのばすことに関しては、きっちり音の中身を保ったままのばすことが非常に多いです。
バラードなどを除き、ビッグバンドジャズなどではほとんど伸ばしている音がギューッと中身が詰まった状態で伸ばしていることが多いです。
そして音の切り方がとてもシビアです。
伸ばしたあとの音の処理や、短い音符でも音の切り方がミリ単位でバシッと切っています。
(クラシックがそうでない訳ではないですよ。クラシックも音の切り方はシビアですが、ちょっと切り方が違います。そこに関しては次に書きます)
クラシックが余韻のある音の切り方に対して、ジャズは比較的【強めに切る】という表現が合っているかもしれません。
ギューッと伸ばしたあと、切る時に「ウッ」となるぐらいハッキリ切ります。
なんなら少し音を大きくして切る、ぐらいの時もあります。
みんな大好きエリックさん。
エリックさんの吹き方を見るのが1番わかりやすいかと思います。
音の伸ばし方、切り方。バンドの方々も同じようにしていますね。
日本のビッグバンドジャズは本当にこういう音の処理が細やかで素敵なバンドが多いです。
A列車だと本当に基本中の基本がわかります。
前回のスウィングの吹き方に関してもお手本のような吹き方です。
吹き方、音の処理の仕方に注目して聞いてみて下さい。
実にサラッと演奏されてるので聴き逃しがちなんですけどね笑
音符の中に隠されたリズムを表現している
これは本当に楽譜に全く書いていないし、しっかり聞いていてもわかりにくい部分ではあるのですが、特にビッグバンドジャズではこういう細かいニュアンスができると「より本物っぽく笑」なる表現方法です。
バッキングなどでよく出てくるリズムです。
これが1番練習に最適だと思うので今日はこの例を上げていきたいと思います。
私がはじめてジャズをやった時に一番最初に「そうじゃない!」と怒られたのがこのリズムの吹き方でした。
これ、普通は「ターンタ」って吹きますよね。
つまり、付点4分音符の部分が減衰するわけです。
で、前項のように「伸ばしをギューッと中身を詰め込む」ように聞こえるように吹くわけなんですが、そうすると「タータ」という吹き方になります。
これでも間違いではないんですが、「タータ」というニュアンスで吹くと、どうしても次の8分音符が弱く聴こえてしまいます。
そして、このリズムをよりハッキリ、より効果的に聞こえるようにしなければなりません。
ジャズはその「リズム」をとても顕著に表現するジャンルの音楽です。
リズムを表現して、かつ人にハッキリ伝わる表現をすることが必要です。
そこで、色々な人の吹き方を研究した結果、このように吹いていることがわかりました。
それがこれ笑
「たうあた」という吹き方です。
(ジャズの人に言わせると「ダウアダ」という感じになるかもしれません)
付点4分音符の中には8分音符が3つ入っています。
これをそれぞれ伸ばしの中でニュアンスをつけて表現します。
ひとつめはアクセント、ふたつめは一度減衰して(p)、3つ目は次の音に向かうために大きく(f)、そして8分音符をハッキリ(アクセント)、という吹き方です。
実際の聴こえ方はこんな感じになっているところは少ないんですが、ニュアンスとしてこれを持っているのと持っていないのでは違います。
(実際は「タータ」と聴こえてます)
ただ、このやり方を覚えると、面白いことに前述した「音の切り方」がとてもハッキリ聞こえるんです。
「タータ」だとどうしても後ろの8分音符が弱めに聞こえるのですが、「タウアタ」と思いながら吹くだけできっちり後ろの8分音符が大きく聞こえるんですよねえ。不思議です笑
後半の方でこのリズムではないですが伸ばしの終わりに向けた切り方がこのようになっているのがとてもわかりやすい演奏だと思います。
音を切る直前にリズムを感じられる息の使い方が必要、という感じになるのかなと思います。
練習の仕方、実際どんな吹き方なのかは是非動画を参考にしてみてくださいね。
まず最初は「スウィングする吹き方」とこの「音符に隠されたリズムを表現する吹き方」ができればいいと思います。
あとは音の切り方ですね。
この3つができるだけでとても「ジャズっぽい」演奏ができると思いますので、是非練習してみてくださいね。
ではまた。ばいば〜い!
【今日のおすすめCD】
カウント・ベイシーの「April in Paris」
絶対持っておくといい1枚だと思います♬
私も何回聴いたかわからないぐらいよく聴いているCDです!
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